ぜいたくな暮らし


わたしは
自分のために服を買うとか
そう
自分だけのためにお金を使う事に
何らかの抵抗感がある

「もったいない」+「申し訳ない」=「買わない方がいい」
という式が自然に成り立つ

誤解のないようにまず説明しておきたいのは
わたしは決して「ケチ」ではないということ(苦笑)
「倹約家」という言葉も適切でない

なぜなら
わたしは人が何を買っても全く抵抗がないし
「もったいない」とは思わない
また
別に見栄を張っているわけではないが
人にものを差し上げるのは好きだ

そして
いくら抵抗があるとは言え
自分でこれはぜひ欲しい!と思ったら
可能な範囲で必ず買う

昨年はバラのためにかなり投資をした
バラのカタログは精神衛生上良くない
限りなく欲しくなる(苦笑)
わたしはもし一人で暮らしていたら
食べる物をけずってまで
バラに投資するかもしれない(呆)

要するに
こだわるところにはものすごくこだわるわけで
実はおしゃれにもとても関心はあるのだが
服一つとっても
わたしがコレだ!と思うものには
滅多にお目にかからないので
デパートにもずいぶんとご無沙汰をしている

というわけで
わたしは「ケチ」ではなく
「誇り高い貧乏性」だと思っている
うーん、このニュアンスが上手く伝わるだろうか
生まれつきの「貧乏性」と
こだわりの「プライド」が合体している
資本金は限られているのだから
常に有効な手段を考えなくてはならない

まず、必要な物と不必要な物が分けられる
服や持ち物その他付属品類の
「外見」にかかわるものは
ある程度の基本の物があれば
数はさほど必要ない
自分で気に入った物だけ持っているので
それだけで十分幸せだ

「美容関係」は常に最低限にとどめている
美容院へは年に3回行く
これ以上になると自分でもさすがにマズイと思う
以前はもう少しひんぱんに行っていたが
行くと必ずそこのシャンプーなどを買うように薦められるし
肌の弱いわたしには
色々なものを頭につけられるだけで
あとでかゆくなって困ったりもするわけで
実のところこういった経済事情意外の事情もある

美容院へ行かない最長記録は
多分約2年間だったろうか
4年前に子ども達を連れて北海道へ行ったが
その資金は2年がかりで貯めた
その間は髪は夫に切ってもらっていた
器用な主人をもつと実にありがたい(笑)

なぜわざわざ北海道だったかと言うと
同じ日本でも北海道は空気が違う
空も違う
それをどうしても子ども達に触れさせておきたかった
広大な牧場で四輪バギーを乗り回した思い出は
生涯忘れないだろう

その2年後には
沖縄へ出かけた
ビーチのついた豪華なリゾートホテル
リッチなディナー
マリンスポーツを満喫する子ども達の姿は
実に生き生きとしていた

そして翌年のディズニーランドで
わたしの「旅計画」は一応終了した

「どうしても」と思うことには
なんとしてでもチャレンジしたい
だめならだめでそれはその時のこと
楽しめる時にはめいっぱい楽しむ
中途半端なことはしない

小学生の間に
子ども達は何度も飛行機や新幹線に乗った
ホテルにも何度も泊まった
旅行の前には自分で荷物を作り
旅のコツも覚えていった

その間わたしは子ども達に何度も言った
こうした旅行ができるのは
決して当たり前のことではないこと
チャンスは限られていること
そのチャンスを十分に生かすこと
そして感謝すること

旅行の時には学校を休まなくてはならない
クラスメイトがどこへ行くのかとたずねる
いつの間にかうちは
「お金持ち」と思われるようになった(笑)

さて
「美容関係」でもうひとつ問題なのが化粧品
基礎化粧品というものはどうもかゆくなる物が多く
5年前からずっと手作りの化粧水だけを使っている

この手作り化粧品の世界は実に奥が深い
材料もさまざまで怪しげな物もある
肌に合わないものもある
使用感は個人差が大きいだろう

色々作った中で”ゆず化粧水”はお気に入りの一つ
作り方は
ゆずの種を集めてびんに入れ
倍量の焼酎を注いで2週間おくと
全体がとろっとしてくるので
ガーゼでこして使うというもの
ゆずをたくさん頂いた時に作ってみたが
さっぱりしていて香りも良かった
しかしゆずの種は通常そんなにたくさん手に入らない

現在は
いつでも手に入る安価な材料で作る
”美肌水”なるものを使用している
これはとある健康雑誌でアトピーにいいと宣伝していたので
娘のために作ってみる事にしたものだった

作り方は
尿素50グラムをびんに入れ
水道水を加え溶かして200ccとし
グリセリンを小さじ1杯入れて混ぜる
この”美肌水原液”は
そのままひじやかかとに塗るとすべすべになる
顔に使用するときは5倍以上に薄める

尿素はホームセンターで肥料用として売っているので
はじめは肥料用〜〜??と躊躇したが
使用感は今までで一番良いと思う

メイク用品はスーパーの一番安いのを買う
これが実はお肌に一番刺激が少ないのだと本で読んだ
なるほどこれはかゆくならない
よく考えたら
その人の塗っているファンデーションが
5000円か500円かの区別は素人には難しいのではないか
5000円のを塗っていても
500円のと同じように見られたら
それはかなり悲しい
500円をそれ相応に見られるのはまだ納得がいく
もしかするともっと上のランクに見える希望もある
実のところこれはやはり
単なる自己満足の世界ではないかと思われる
高い物を使うと美しくなれるような気がする
わたしはロマンティストだから
そういう夢のある想像は大好きだ
だがわたしには夢が多すぎて
すべてを試すだけの余裕がない
だから高価な物を使っている”つもり”でいる
ここでバラさなければきっと誰もわからないだろうし(笑)

人生は気合だ
それらしく堂々としていればいい

息子が修学旅行先のホテルで
フルコースディナーのテーブルマナーの時間に
”それなりに”堂々と食べていたら
友人から
「さすが金持ちはこんなの毎日食ってるから慣れてるな」
と言われたという(爆笑)

うちでは滅多に外食する事はないが
今まで一度だけ(もう4年前)勉強のために
ディナーを食べに連れて行ったことがある
その時の記憶と
家庭科の授業と
あとは父親の
「どんな時にも堂々としていろ」
との言葉をたよりに
”それなりに”ふるまったのだと言う

『武士は食わねど高楊枝』
という言葉は好きだ
どんな時にも平然としていたい

もっと余裕ができたらとか
いつか老後にでもとか
そんな悠長なことは言っていられない
明日の事もわからないこの綱渡りのような生活
今という時に喜びを感じなかったら
常に不安でしかない

良質のオイルをふんだんに使った
安価な手作り石けんで入浴を楽しみ
200円のタネからあふれるほどの花を収穫し
ドライフラワーにして飾り
バラの季節には
香り高いイングリッシュローズを
惜しげもなく切っては生け
次はどうしようかなといつも楽しい夢をみる

そんなぜいたくな暮らしをわたしは満喫している





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