ちょっとしたこと
今日
スーパーで買い物をしたあと
重たい荷物をかかえたままで
買い物カートを難儀しながら所定の位置に押し込んでいると
いつの間にか側にきていた女性が
「入れておきましょう」
と言ってカートをおさめてくれた
それがとても感じがよくて
どんな人かは知らないが
きっと良い人に違いないと思えるのだ
日常でのちょっとした言動は
結構その人の評価を左右する
都会ではそれほどでもないかもしれないが
この田舎町にあって
”ものを言う”のは実に重要な事だ
外見的にはかなり崩れた若者も
いつもよく挨拶する子は
「あの子は良い子よ」と大人はいう
反対に
身なりはきちんとした真面目な学生さんでも
ものを言わなければ評価はガタ落ちだ
たかがあいさつ、されどあいさつ
朝わたしが庭掃除をしていると
ちょうどその頃
向かいの家の子ども達が保育園に出かける
二人の幼い姉妹は
車に乗り込むまでに何度も「おはようございます!」を繰り返し
わたしもそれに手を振って答えるのが習慣になっている
時にはこちらが急いでいて
いつまでもあいさつに付き合っていられないこともあるのだが
なるべくこの子たちが車で出て行くまで
手を振って見送るようにしている
これも小学校へ上がるまでの一時の事
今は元気にあいさつする子達をかわいいなあと思うけれど
もし大きくなって知らん顔をしていたら
かわいくない子だと思うだろう
そしてこの子たちにとっても
いつも手を振ってくれる向かいのおばさんは優しいと思っているだろうが(多分)
もしそれに答えなければたちまち怖いおばさんになるだろう
ほんのちょっとしたことなのだが
あいさつってあなどれないと思う
夫は長年定期的に利用している街中の駐車場で
入るときも出る時もあいさつを欠かさないので
ある時駐車場のおじさんから
「あんたはいつも感じがいいのう」と言われ
そのうち
「うちの娘を嫁にもらわんか」
とも言われた(大笑)
あいさつすると結婚話もやってくるのか
それからまたしばらくして
「あんたは偉い人じゃろう?」と言われ
「はぁ??」という感じでその場を笑って過ごしたが
その後には
突然「先生!」と呼び止める声に思わず反応して「はい?」と振り返ると
(教会ではいつも先生と呼ばれているのでつい返事をする)
いつものおじさんが
「ほら、先生じゃ!やっぱり偉い人じゃった〜」と
自分の想像は当たったのだとばかりに嬉しそう
一体何の偉い先生に間違われたか知らないが(爆笑)
とりあえずあいさつすると偉い人にもなれるようだ
その他にも
やはりよく利用する高速道路の料金所では
いつものように
「こんにちは、お願いします」といってお金を払うと
料金所のおじさんがおつりを持ったまま
「いやぁ〜、いつも気持ちがいいですのぉ〜
わしらはこうしてお金のやり取りをするばかりで
こっちからものを言う事はあっても
相手からあいさつされる事なんか滅多にないんよ」と感激している
一時的に通り過ぎるだけの料金所では
おじさんたちはちょっとした声かけも嬉しいらしい
世の中には
人よりも偉く見られたいと思い
あくせくしている人がいる
人の気をひくために
裏でこそこそ根回しをする人もいる
でも
不自然な演出はかえって裏目となり
結果はあまりよろしくないようだ
「普通にしてればいいものを・・」
そんな声もよくきく
普通って何だろう、、、
当たり前のことを自然にすること・・かな
スーパーで
買った商品を袋につめた後
カゴを台の上にほったらかしにして帰る人もいれば
人が置きっぱなしにしたカゴも
自分のと一緒に黙って片付けている人もある
ほんのちょっとした動作の差を
結構人は見ているものだ
こうしてわたしたちは
ちょっとしたことで得をしたり損をしたりしているらしい
子どもの頃
母がうるさく言っていたあいさつのこと
今は本当に大切だとしみじみ思う
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