ジューン・ブライド


娘がはじめて先導者としての大役を務める結婚式が
本人はもちろん
家族もどきどきしながら見守る中で
なんとか無事終了した

 

古い時代の賛美歌で入場するこのスタイルは
今はもう時代遅れなのかもしれないが
華やかさよりも厳かさを優先したスタイルとして
うちではこれからも続けられるのだろう

過去にわたしも何度か先導者を務めたが
歌は難しいし伴奏もないから
はじめの音をちょうど良い高さで出さなかったら
その後が上手く続けられない
すみませんがやりなおしを〜・・・
などという事が出来ない一発勝負なのだ
それでも
いつかはと願っていた事なので
何とか良い形で実現させたい
そう思って毎晩練習を重ねた

一方
本番を前に服装とか髪型をどうしようかということになり
ひさしぶりに髪を下ろした姿を見て
ほぉ〜・・・こんなにウェーブがきつくなっているんだなあとビックリ
生まれつきクセ毛で広がるタイプの髪をしていたが
ここ数年でどんどん自然にカールするようになり
まるでパーマをかけたみたいになっている
わたしから見ればこれはこれでいいじゃないのと思うが
本人はずっとサラサラストレートに憧れている

そうそう
娘ほどではないが
ちょとしたクセ毛の息子もストレートに憧れていて
先日薬局でストレートパーマ液を買ってきた
これは以前娘に試して全く効果がなかったしろものだが
息子にはそれなりにまあまあの仕上がりとなっている
これなら貴重なおこづかいから700円出したかいがあるかも
その後
実はストレートパーマは学校では禁止なのだと聞いた
そうか、、、聞かなかった事にしておこう(苦笑)

当日
娘は部活で日焼けした顔にお化粧をして
どきどきしながらその時を待っていた
それでも
昔ピアノの発表会で緊張のあまり鼻血を出してしまったような
そんな感じではない
ひとつひとつ色んな経験を積みながら
結構舞台度胸もついてきているのだろうか

3歳の頃
花嫁さんの姿に感動して以来
保育園での「将来の夢は?」との問に
答えはいつも決まって”お嫁さん”だった
結婚式があるたびに
前に出て賛美歌を歌ったり
ベール持ちも経験した
娘にとって結婚式は
いつか自分も・・・という究極の憧れだ



このバージンロードを娘と父が歩く頃
夫はすでに60歳を越えているだろう
なにしろ40の時の子どもだからまだもうちょっと先は長い
昔は新郎新婦の父親といえば年をとっているイメージが強かったが
最近はこちらの方が年をとってきて
新婦の父親が夫よりもずっと若いケースもある

結局
最後まで特にミスもなく
娘は無事に務めを果たした
これは
10年来のわたしの夢の実現の瞬間でもあった

先日も娘と色んな話をしながら
今も相変わらず将来の夢は”お嫁さん”なのだと知って
なんだか嬉しかった
結婚して主婦になる事を
実に面白くない事と思っている子ども達が増えている中で
わたしは主婦という”役職”にもっと誇りを持って欲しいと思っている
同時に結婚も
それが幸せか幸せでないかは
自分がどう生きるのかにかかっているということも覚えておいてもらいたい

家族ひとりひとりが良い状態であるために
常に全体のバランスを見ながら気配りする主婦は
家族の演出者だ
一見なんの権限もないようで
実は大きなカギを握っている
この重要な仕事を
以前時給いくらで換算しようとしていたが
いや、確かに家事はずいぶんな労働ではあるが
ただ単にお金がどうのというだけで割り切る問題ではないだろう

時は流れ
昔の考え方は時代遅れになっていく
それでも
堂々と時代遅れの生き方をするのも悪くはない
むしろその方が面白いかも・・
最近はよくそんなことを思う




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