何のために


部活が忙しい上に
夏休みの宿題もたくさん抱えている娘が
先日つぶやいた
「勉強って何のためにするんだろうね」
そう
難しい数学なんてこの先どこかで使うこともなさそうだし
今学校で習う勉強のうち
どの程度が実生活に必要なのだろう

中学生になってもまだついてくる夏休みの理科の自由研究は
子どもにとって最後まで残る難関で
どうやらいまだに方針が定まっていない様子
一方で
自分で好きな時代の事を自由にノートにまとめる社会の宿題は
今ハマっている新撰組について事細かに調べ
熱心に楽しく進んでいるようだ
こんな風に
好きな勉強だけ適当にチョイスできたら
これほどお気楽なことはない

「勉強って何のためにするんだろうね」
それは子どもたちの多くが持つ疑問であり
これが社会人となると
「何のためにこんな仕事しなきゃならないのだろう」
というようにスライドする
「何のために・・・」
それは行き詰まった時
どこか逃げ道を模索する人の言い訳なのかもしれない

わたしもかつて嫌な勉強にうんざりし
こんなのわたしの人生に関係ないでしょうと思った部類だが
この娘のつぶやきに対して
わたし自身いまだ明確な答えを持ち合わせていないことに気付いた

そこで
それをある人に話したところ
「ああ、それにははっきりした答えがあるんですよ」と
色んな話を聞かせてもらった

数学にしても外国語にしても
日常生活からは遠く離れたこれらの勉強を
みんないっせいに同じところからスタートさせ
それを一定の時間でどのように習得するかという過程は
その人にとって大切な訓練となる
特に試験をクリアーするためには
効率の良い時間の使い方と集中力が要求されるわけで
定期的に訓練は繰り返されていくこととなる

学生時代にはいくらでもあるかのように思える時間だが
実は社会人になると時間というのは結構少ない
社会の中では
一定の時間内に一定の仕事量を要求され
それがはじめての仕事なら
一からヨーイドンで走り出さなくてはならないわけだ
興味があるなしに関わらず
さまざまな問題に直面する時
そこで集中して学ぶ姿勢があるかどうか
その訓練をどのように積み重ねているかで
結果には歴然と差が出てくるのだと言う

これは決して他人との優劣を競う意味ではなく
自分との戦いというか
自らを鍛える姿勢をさしているわけで
今ちょうど開催されているオリンピックにたくさんの人が注目するのは
選手一人一人のこれまでの鍛錬の成果を見て
その真摯な姿勢に感動を覚えるからだろう

学生時代にもっと勉強しておいたら良かった、、、
そんな社会人の言葉をよく聞くことがある
ただ
訓練というものはその時にはなかなか意味を見出せないもので
どうしても押し付けられている感じから逃れられない
「勉強って何のためにするんだろうね」
そう、押し付けられるのが嫌でそう言いたくなるのだ
そしてわたしもそのひとりだった

わたしくらいの歳になると
こういう話の意味はよくわかる
それでも中学生の頃だったらきっと理解できなかっただろう
それは社会の現実の厳しさを知らないからで
それもまた仕方のないことと思う

もっとも
わたしが中学生の頃に言われていた一生懸命勉強する事の意味とは
世間一般では
良い学校へ入って良い会社に就職し一生を安泰で暮らすことにあったから
今回の話とはだいぶ意味が違うようだ
今は
有名校を卒業した人が優秀な社会人になるとは限らないことがわかってきて
生涯それぞれの分野で勉強し続けることの大切さが
唱えられるようになった
そういう意味では
今の時代の方が、この話理解しやすいかもしれない

さて
今回の話で盛んに出てきた『効率の良い時間の使い方』については
わたしはいまだにダメだなあと痛感したが
この頃はそれを歳のせいにして逃げ腰にもなっている(苦笑)

一方
効率の悪さを歳のせいにできない息子はどうしているかと見てみたら
ノート一冊分問題を解いてくる数学の宿題をまだ3分の2残しているらしい
「まだ間に合うから大丈夫だよ」と言いつつ
「昔みたいにノートを破ってみようか」と笑うので思い出した・・・!
そういえば小学校の頃
ノート一冊分算数だったか何かの宿題が出ていたのを
途中でめんどくさくなったため
ノートを破ってページ数を大幅に減らしていた事があった
これにわたしが気付いたため
結果的には新しいノートがあてがわれて
一冊分をいちからやり直しさせられたのを息子はよく覚えていた
あれは息子なりに考えた『効率の良い時間の使い方』だったのだろうが
世の中そんなに甘くはなかったわけだ(笑)

さあ
性格上、息子ほど大胆な手口には出られないであろう娘は
理科の自由研究をどのようにごまかすのだろうか
明日からはまた部活も始まるし
『効率の良い時間の使い方』を学ぶ正念場にきている
もう親が手出しする歳でもなし
ここは興味津々でお手並み拝見といこうか(笑)





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