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宗教と詐欺
久保博司『詐欺師のすべて』を読みますと、インチキ宗教も詐欺とやり方が変わらないんだなと感心しました。この本にある「詐欺の鉄則十五箇条」から抜粋して、インチキ宗教の手口を考えてみましょう。霊感商法や法の華などを念頭にして読んでいただくとなるほどと思われるでしょう。
第一条 自分は詐欺師ではないとの信念を抱け
・相手を騙す前に自分を騙せ
自分は嘘をついていると思っていては人を騙せません。自分でも嘘を本当だと信じ込めば良心は引っ込みます。もし良心を感じても平気で耐えられる神経が必要です。このことは次の条文につながります。
第二条 演技力を磨け
・強靱な神経をつくれ
・服装はスキのない紳士風に装え
・ゆったりと余裕をもって話せ
ありがたい雰囲気を作りましょう。ぼろを出さないためには、広い教養と深い専門知識と立派な服装が不可欠です。無欲さを強調して質素な服を着るのも手です。しかし安っぽいのは信用されません。サイババのように手品で驚かすのもいいでしょう。
第三条 権威を利用せよ
神の生まれ変わりとか、神の声が聞こえるとか言います。著名人と親しいことを強調します。
世界何とか教などといった大げさな教団名、壮麗な神殿、盛大な儀式などは、これだけ立派なのだから間違いないと思わせます。
第四条 人の弱みをにぎって活用せよ
・相手を選べ
病気・縁談・仕事・家庭などに悩みを抱えている者、何とかしなければと思っている人は、おいしい話、つまりすぐに問題が解決できますという話に乗りやすいのです。
第五条 無価値のものを価値あるように見せかける
お札、お守り、壺、印鑑などなど。教祖の本もこのたぐいだと言ったら怒られるでしょうか。
あるいは占い、予言といったでまかせ。たとえば、「あなたの家に松があるでしょう」と尋ねます。本当にあればビックリするでしょうし、なくても大丈夫。「ない? ああ、よかったあ」と言います。どちらとも取れる言い方をすれば必ず的中するのは当然です。
第六条 真実を核にして嘘を構築せよ
新興宗教の教義は仏教やキリスト教、そして一般的な道徳・常識や科学知識、それに霊の話を混ぜて出来上がり。
「このままだったらガンになるぞ」といった脅しも嘘ではありません。誰でもガンになる可能性はあるのですから(お前はガンだと言えば嘘になります)。ガンになれば、私の言ったとおりだろうと言い、ガンにならなければ、私の力でと言えばよいのです。
第七条 最初はまともな話で相手を安心させよ
・誠意を見せかけよ
・最初のハードルを低くせよ
最初は耳に心地よいことを言います。あなたの悩みはよくわかります、お金はいりませんとか、お気持ちだけで結構ですと言いながら、次第に要求がエスカレートしていきます。おいしい話には裏があると思ったら間違いないでしょう。
お金が儲かる財布とかいったインチキ商品の値段は、大体2~3万円程度です。これよりも安かったら信用されないし、高かったら訴えられることがあります。この程度ならだまされたと思っても、文句を言うのも面倒なのであきらめるそうです。
第八条 騙すなら徹底して騙せ
騙されていることに気づかせないのが本当の詐欺です。しかも我々は詐欺にひっかかったことを認めることは、自分が愚かだったと認めることになるので、詐欺ではないと思いたいのです。それでいつまでも騙されてしまうのでしょう。
第十一条 相手をあわてさせ、冷静さを失わせよ
・カモの不安をかきたてよ
先祖が迷っているとか、このままほっておけばとんでもないことになるなどと言って脅します。そしてあわてさせ、冷静な思考を鈍らせます。考える時間を与えてはいけません。間髪を入れずに入信させ、献金させ、高価なものを買わせます。
・カモを孤立させよ
相談相手のない一人暮らしの老人がひっかかりやすいのは定説です。
第十二条 あらゆる手段を使って時間をかせげ
・相手を諦めさせよ
騙されたと気づいても、時間や手間がかかれば、たいていの人は諦めるそうです。
第十三条 引き際を心得よ
あまりしつこく何度も金を要求されると、誰でも不信を持ちます。ということは、ほどほどの要求なら疑いを持たずに騙され続けるのでしょう。
第十四条 強い返済要求には応じよ
・法律の抜け穴を巧妙にくぐれ
・何を言われても動じるな
インチキ宗教がなかなかつかまらないのはこのためでしょうか。
結論
一,金、金とうるさい宗教
二,しつこく勧誘する宗教
三,教団の大きさ、信者の数や建物の自慢をする 宗教
四,願い事が簡単に叶うように言う宗教
五,従わないと脅しめいたことを言う宗教
こうした宗教には眉に唾をつけてみる必要があります。
その実例
妻が娘たちのため英会話教室(ワールド学院)の契約をした。ちなみに月謝7000円教材費3000円、合わせて月に1万円だそうな。
私はそれを解約しようと電話をしたのだが、
「お父さん、理由は何ですか」
「お子さんのことが心配じゃないんですか」
などと言う。
私は腹を立て、怒り、どなったが、ダメ。反論し、皮肉を言ったがダメ。解約に応じない。
面倒になり黙って聞いているといくらでもしゃべる。結局30分以上ご高説を拝聴することになった。
どういうことを言うかというと、まずセールスマンの基本テクニック、すなわち不安感をかきたてる。
「お父さんの時代とは違うんですよ」
「これからは英語がしゃべれるのが当たり前になります」
「英語が話せないと管理職になれません」
「小学校で英会話の授業が行われますが、70%の子供はついていけないだろうと国も考えています」
「学校の授業だけではダメです」
そしてお決まりの
「今から始めないと手遅れになります。3才からしてる子もいますよ」
「今なら特別に入ることができます」
とあせらす。
次ぎに同業者の悪口。
「公文式はつめこみだからダメ」
「チャレンジは受講者が多いのて、きめの細かい指導ができない」
「教材を売るのが目的の業者だと、お金が続かなくて途中でやめてしまう」
自画自賛。
「うちは金儲けでやっているんじゃありません。皆さんの手助けをしているんです」
「遊びながら自然に英会話が身につくので、子供も楽しんでします」
そしておだてる。
「お宅のお子さんは覚えが早い。素質があります」
とはいっても、すぐに英語がしゃべれるようになるわけはない、と言う。何年もたたなければ効果があったかどうかわからない。
この人には悪意はないと思う。善意で勧めているんだろう。本当に英会話ができなければ苦労するから、ぜひ学んでもらいたいと思っていると思う。だから困る。
おそらく妻には
「あなたが心配されるのはよくわかります」
「ご主人は奥さんのお気持ちを理解されないんですね」
「ええ、ごもっともです」
なんて言ったんでしょうね。共感です。
ある人から「セールスマンのテクニック三ヵ条」を聞いた。
1,不安にさせ
2,救いの手をさしのべ
3,おまけでとどめを刺す
おまけとは、「今だったら入会金は無料です」「教材をプレゼントします」といったことだ。
不安にさせ、こうしたらいいですよと安心させ、夢を見させる。
「勧誘の仕方」「悩みごとからの入信」を合わせて読んで下さいね。
私だって同じこと。子供たちにボーイスカウトをさせたのですが、ボーイスカウトをしていれば積極的行動的になるのでは、と夢見ています。それは夢だとわかっていても、夢にすがりついている。
「夢は破れんといかん」との言葉は真実です。
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