民間療法


先日この辺りではめずらしく大雪となった
冷え性のわたしにはこの寒さは何とも辛い
それでも降りしきる雪の中を
仕事に出かけなければならない人を思うと
さむいさむいと文句は言っていられない

この寒さの中で靴をはいて何時間か外にいたら
わたしの足は間違いなく「しもやけ」をおこす
学生時代はホントこれに苦労したものだ
わたしの足は幅が広めで
スマートな靴を無理してはくと
すぐ血行不良になる
あのころはまだ幅広い”4E”とかの靴がなかったから
冬はいつも重症のしもやけに悩まされた

ある時
保健の先生のところへしもやけの相談に行った
先生はう〜んと困った顔をしながらも
ある新聞記事を見せてくれた
そこには「しもやけ対策」がのっており
試してみたらと言われ
早速帰って実行する事にした

使うのは「にんにく」
生にんにくをすりおろし
ガーゼに塗って患部に貼る
すぐにほかほかしてきた
おぉ、これは効いている・・・
そのうちひりひりしてきた
どんどんひりひりはひどくなった
これはよく効いているのだと思って
じっと我慢した
これであの辛いしもやけが治るなら、、、

そのうちに我慢も限界に達したので
ついにはがす
そこに現れたのは
見るも無残にただれて水ぶくれになった皮膚
急いで足を洗ったが
こうなったらもう元にはもどらない
そのただれは
やっと痛みがひいてからも
ちょうどやけどの跡のように茶色くなり
夏も素足ではいられないほどに残ってしまった

民間療法は恐ろしい
その時つくづく思った

遺伝というものはどうしようもないもので
親にも良いところはあるはずなのだが
なぜか悪いところの方がたくさん伝承されている気がする
娘が今しもやけに悩まされている
昔の失敗談を教えたら
目を丸くしていた
娘はとても慎重なタイプだから
わたしのような無茶はしないだろう
それでも人間はわらをもすがりたくなると
何をするかわからないが・・・

娘は赤ちゃんの頃から
かなりひどいアトピー性皮膚炎だった
耳の後ろに始まって
目の周り、首周りと
次々に切れて血が出ているのを見ると
親としては何とも忍びない
とりあえず病院でもらった薬をせっせと塗るが
塗った時はきれいになっても
やめるとすぐに再発する
とにかくずっと塗り続けるしかない
そのうち範囲も広がって全身に及んだ頃
本でステロイド剤の薬害について知る

娘がずっと使っていた薬は
どうやら延々と常用してはならないものだったらしい
そんなこと病院では教えてくれなかった
恐ろしくなってその日からつけるのをやめる
すると
本に書いてあった通り
今までよりもっとひどい症状が出た
これがリバウンド現象というものらしい

今でこそ
ステロイド剤を上手に使いながらの治療が研究されているが
あのころは悪い物は直ちに止めるのが当たり前で
そのために起きるリバウンド現象をのりきるために
あらゆる民間療法が現れた

娘は
臭いにんにく風呂や
ウーロン茶のお風呂に入れられ
ある時は苦い漢方薬を飲まされ
ある時は1個5000円もする石けんも買った
アトピーに効く化粧品の広告を見れば
無料サンプルを端から注文
そのために後から山のように届くダイレクトメールに
辟易することとなった

何を試しても効果はほとんど感じられない
中にはますますひどくなるものもあったが
そういうものに限って
”一時的に症状が悪化することがありますが
それは体内の毒素が出ているのです”
などともっともらしい事が書いてある
こんな怪しいものほどものすごく高価だ

娘のアレルギーの原因が何なのか
実は調べていない
わたし自身にも鼻にかなりひどいアレルギーがあるらしいが
検査しても原因がわからなかった
医学の世界もまだまだわからないことだらけだ
娘のアレルギーも
調べてもわからないかもしれない
いや原因など知りたくないということもある

もし食物が原因となったら
あれもこれも制限しなくてはならなくなる
実際に食事制限による治療が一時問題となったこともある
それでも親は必死だ
飢えさせてでも治したいとすがりつく姿を
誰が笑う事が出来るだろうか

当時あらゆるアトピー情報を調べていて
その実態には恐ろしくなったものだ
良い病院があると聞けば
飛行機に乗ってでもでかける
何日も泊り込みの道場もあった
莫大な費用と労力
子どものためにどこまでも頑張る親の姿に
忍び寄る悪徳業者の影・・

あのころから
ダニを殺す掃除機や
特殊な布団も出回るようになった
アトピーが日本の産業に与えた影響は大きかった

小学校に入り
2年生の頃にはもうかなり症状は良くなっていた
何がどう効果があったのか
あるいは何にも関係なかったのかよくわからない
とにかく最後は
純粋な石けんと美肌水(ぜいたくな暮らし参照)の使用で
現在にいたっている

アレルギーの原因そのものが
物質によるものに限らず
精神的な要因(ストレス)によることもあるようで
こうなってくると明確な答えは出てこない

だいたい病院に来る人の半数は
精神的要因による体調不良だという話もあるくらいで
どこまでが病気といえるのか
病院側も苦慮しているらしい

何はともあれ
病気になってもあわてず騒がず
じっくりと構えて対処方法を考えた方が良い
パニックになると
人はとんでもない方向に走ってしまうし
何が正しいのか
正常な判断が出来なくなる

しもやけは母に似た娘だが
幸いこちらは足の形が良い
靴で締め付けられる事もないので
わたしほど酷くはならないだろう

わたしと足の形が似ているのは息子
爪の形まで似ている
この爪は「巻き爪」と呼ばれ
爪の両端が皮膚に食い込んで放っておくと化膿する
定期的に角をきれいにつんでおかねばならない
これにはテクニックがいるので
上手に出来るようになるまでは苦労するのだ

すでに埋もれかけている爪の角を
掘り起こすように持ち上げる
角をつんだあとは”くぼみ”が出来るので
汚い話だが
そこにたまる”あか”も掘り出さなくてはならない
息子はこの作業に”つまようじ”を使用している
その使用済みつまようじを
テーブルの上に置きっぱなしにしていることがよくあるが
そうとは知らない夫は
つい最近まで
その使用済みつまようじで
自分の歯をつついていたらしい(爆笑)

知らないというのは幸せなことだ(笑)




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