方言について

医療と方言プロジェクト

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    言語聴覚士のための方言データの公開を始めました。詳しくは医療と方言プロジェクトのページへ
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    言語地図に関すること

    言語地図って?

    どの地域でどのような方言が使われているか。 そういうことを知りたいとき、地図の上に方言が重ねて書いてあれば便利です。方言事象に記号を当て、それを日本地図の上に書き込んでいったもの、これが日本の言語地図ということになります。

    さて、言語地図はもともとは日本語の標準語をつくるための参考として作成されました。 また、日本語の歴史をさかのぼるという目的で作成されました。言語地図を書いて、そこに見られる事象の分布状況を見ながら日本語の歴史を再構成してゆこうとする研究を、言語地理学研究といいます。 では、具体的にどのような手法でさかのぼるのでしょうか?

    例えば、現在、東京を中心としてマスコミで新しい言葉が作られると、テレビなどを通じて全国に広まっていきます。 昔はそのようなものはありませんから、人々の移動に伴って言葉は運ばれていきます。この時、ことばの流れの一つとして、中央から地方へ、という流れができあがります。 ただ、人の足で伝わりますから、そのスピードは大変遅く、例えば昔の中央であった京都の言葉が山口県あたりに伝わった頃、気づけば京都でまた新しいことばが生まれている、なんてことも多かったでしょう。 あるWという語が広島まで行った頃、次の新しいQという語が京都で発生、伝わり始めます。 そのQという語が再び広島まで届いた頃、Wは山口へと伝わり、京都では今度はPという語が生まれている、ということになります。 その結果、波紋が広がるように中央に近いほど新しく、中央から離れれば離れるほど古い語が残るということになります。 例えば、京都周辺のPが新しく、そこから離れ、広島あたりのQが、もっとも古いのが山口あたりのWということになります。

    もちろんこのような単純な分布とはなりませんが、一つの重要な「方言周圏論」という論で解釈される分布と解釈のパターンです。

    言語地図の読み方

    言語地図をどのように見ればよいのでしょうか。 簡単に言えば、自分の興味ある地域がどんな言い方をしているか見れば良いのです。しかし、それなりに見方(いや、書き方?)があります。そのための基礎知識をいくつか。

    1 記号
    記号は、基本的に同じ系統の事象に同じ系列の記号を与えます。例えば「ヨーケ」に白三角を与えたら「ヨケー」に黒三角というふうに。これとは全く違う系列の「ギョーサン」には丸印を与えることになるわけです(別に丸でなくても、三角系でなければ良い)。ものによってはカラーのものもあります(日本言語地図など)。この場合は色も含めて系列化されています。また、目立たせたい事象には普通大きめの記号を与えたり、対立をはっきりさせたいときには記号に白黒のコントラストを持たせたりもします。

    2 分布傾向
    記号の形を見て同じ系列の語がどのように分布しているか傾向を見ます。そこから、例えば統語線を引くことで方言区画を考えたり、語の侵入の道筋や時期を考えたりしてゆくわけです。

    たとえば、この地図の場合、「トー○○」系と「マンマン」系の2種が対立していることがわかります。 記号も、おなじ系列のものにおなじような形の記号が与えられています。 「マンマン」系は三角、「トー○○」系はペン先のような形。ただし、「トートコ」を目立たせるために、これだけ四角になっています。何を目立たせるか、ということも、地図を作る上で重要なことなのです。

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