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PCパーツ・周辺機器レビュー & PC自作記.

PC自作記.

AX4R plus故障.

 ひとことの2006/03/10にちょっと書いたメインマシンの故障について、時系列にしたがって読み物風に書いてみました。そのためまとまりがなく、やたらと長くなってしまいました。結果だけ知りたい人は最後の章だけ読んで。


おしながき

発現.

起動せず.

 2006/02中旬のある日、いつものようにPCを起動すべく電源ボタンを押してみる。ぽちっとな。が、Windowsが起動しない。BIOSの画面は出てたが、Widows xpのロゴが出ない。真っ暗な画面の左上にカーソルが点滅しているだけ。
 リセットしてみる。やっぱり同じ。数分待ってみても変化なし。
 何度かリセット・電源ON/OFFしているうちに起動できた。しかし、ちょっとWebブラウズしたくらいでフリーズ。マウスポインタも動かないしCTRL+ALT+Deleteも効かない。その後リセット・電源ON/OFFしても状況は同じく、Windowsが起動しないか、起動できてもWebブラウズくらいの軽い作業でフリーズ。

 前日新たに入手したゲーム(SundayPanzers)をやっていたら2度ほどフリーズしたから、ハードディスクの中身があってはならないことに書き変ってしまったのかと思い、Windows xpをクリーンインストールしてあるはずの予備のハードディスクに換えてみる。が、やはり同じ。Windowsが入ってるというのは思い違いかな? と思い、クリーンインストールしてみることに。


クリーンインストール.

 しかーし! インストーラが途中で停止して動かない。「ASR使うんならF2押せ」まではいく。その次、CD-ROMにアクセスするはずがアクセスがない。よく考えると前にもここで止まったことがあったような。CD-ROMドライブを換えてみても結果は同じ。とりあえずリセット。数回目のリセットで成功。そのままクリーンインストール続行して、インストーラが再起動させるところまでは正常。
 が、再起動後はやはりWindows xpのロゴが出るはずのタイミングでカーソル点滅&だんまり。リセット・電源ON/OFF繰り返してると何回目かに起動したので、試しに有線LANでWebブラウズしてみた。やはり同じくフリーズ。えー! クリーンインストールでも動かないの!? いずれかのパーツ故障の疑い強し... マジかよ、5年使うつもりで購入したのに、3年弱で壊れるのは早くないか?


原因.

故障パーツの選別.

 パーツ故障ならと思い拡張カードなどを外して最小限の構成にしてみる。といっても外せるのは以下のものくらい。

 そして電源ON。やっぱり同じ。GV-MVP/GXとか熱いから怪しかったのに。
 今度はUSB接続してる周辺機器も外してみる。ここで外したのは、

 IR-USB2は特に怪しい。USB経由でも動作不良にできるのか?
 これらを外してみても状況は一向に変わりなし。もう外せるものはないよ。残りはCPU、マザーボード、メインメモリ、ビデオカード、HDD1台、電源ユニット、キーボードだけだもん。すべて外すと動かないし、交換するにも代用品がないし。

 それどころか、今までは数回に1回はWindowsが起動してたのに、だんだん起動する頻度が減っていくような気がする...


お決まりの手は.

 一応、自作の不具合時の定石を試してみる。新規組み立てやパーツの増設、入れ替えの時に有効な手段であって、今回のように何も構成を変更してないのに起きた不具合に対する効果は疑問。
 まずBIOS設定の初期化。変化なし。
 CMOSクリア。変化なし。
 バックアップ用電池の抜き差し&残量確認。電圧は1.502Vで正常、PCは変化なし。
 たまたま起動したスキにBIOS ROMの書き込み。変化なし。

 もうお手上げです(T_T)


症状.

 これまでの状況を、わかっている範囲でまとめてみると...

発生のタイミング Windows起動時、
Webブラウズ中(特定のサイトでなどではなくランダム)、
ゲーム中(SundayPanzers)
発生時の症状 フリーズ(この時画面がちょっと乱れることもある)、
突然のリセット
ハードウェア構成 最小構成、ありったけ接続 ともに発生
ソフトウェア構成 クリーンインストール直後、ありったけインストール ともに発生
その他 特にハードウェア構成・ソフトウェア構成を変えたわけでもないのに、ある日突然発生

 特に不具合発生のタイミングが決まっていないので、何らかのハードウェア的なタイミングのミスマッチ、電源の不安定のいずれかの疑い強し。構成を変えてないのに突然発生したことから、経年変化による疑い強し。なら何らかの電源がへたったのか。


調査.

 似たような症状を経験した人がいないかと思い、サブマシンを駆使してインターネットで検索してみる。
 すると「電解コンデンサの大量死」なる記事を発見。この記事の概要は、

2001年後半〜2002年前半あたりに製造された台湾製低ESR電解コンデンサに粗悪品があり、それを使用したマザーボードで何らかの不具合が生じている

ということ。AX4R plusは「警報マザーボード」にリストアップされていないが、同時期に作られたAOpen製マザーボードが多数リストアップされている。ならはAX4R plusも怪しい。さらに検索してみると2chのスレの中に、問題の粗悪コンデンサはAX4R plusにも1つだけ使われていて、自分で同等品に交換したという記事を発見。やっぱりあるのか... でもこの記事の人は不具合は発生してなかったそうだし、その後の状況についても書き込みなし。残念、自分も同様に該当コンデンサを交換して今回の故障を直せるかどうか判断できないかという意味では、参考にならず。  ほかにも、マザーボードのコンデンサを交換したという記事を複数発見。CPU周りのVRMに使われているコンデンサを10個以上交換したとい う人も多い。AX4R plusは1個だけだから楽勝だな。

抜いてみました 問題のコンデンサ  ここでAX4R plusをケースから取り出してみた。問題のコンデンサは... あった。20ピン電源コネクタPWR1のすぐ隣、TC1。見事に底が抜けて中身の電解液が漏れた跡が。もう乾いてるけど。
 これ以上の悪化を避けるため、メインマシンは使うのを中止。試しに自分でこのコンデンサを交換してみることに。

 このコンデンサについて調べてみた。台湾のLelonというコンデンサ専業メーカーのRXAという品種らしいが、すでにメーカーのWebサイトには該当品種なし。生産終了みたいで詳細は不明。スリーブの刻印から耐圧10V、容量1000μFであることはわかる。
 新しく選ぶコンデンサは日本製のものにしよう。品質に間違いはないし。

 ところで、AX4R plusに使われている低ESR電解コンデンサを見てみると以下のとおり。

 上記の他に容量1000μF以下のものには「GL」と書かれたものもあったけど、どこのメーカーのものか、低ESR品なのかどうかはわからず。
 耐圧10V1000μFのものは問題のTC1 1つだけ。他は日本製であり、1つだけLelonというのも不自然。AX4R plusの発売時期が2002/12頃と、各マザーボードメーカーが粗悪コンデンサを使っていた時期としては終わり頃に当たることから、善意に考えれば、在庫や流通量の関係で、10V1000μFの低ESR品が日本製のものが入手できなかったため、台湾製を使ったとも推測できなくもない。


処置 #1.

交換.

標準品のアルミ電解コンデンサと、タンタル電解コンデンサ  低ESR品なんて簡単に入手できないだろうなと覚悟しながらも、手っ取り早く代用品を入手したいので、隣町のパーツショップに行ってみる。やはり標準品あるいは両極性くらいしかない。仕方なく標準品の、耐圧10Vはなかったので16Vを購入。おまじないとして容量小さめ2.2μFのタンタル電解コンデンサも、予備も含めて2個ずつ購入。
 アルミ電解コンデンサについては、店には同じ容量・耐圧でも大きさの違うものが2種類。どこが違うのかわからんから1個ずつ買ってみた。後で調べてみるとどちらも日本ケミコン(通称ニッケミ)の105℃標準品で、大きい方が生産終了したKME、小さい方がその新型となるKMG。新旧両製品の違いは大きさとRoHS指令対応だけみたい。

裏にタンタル追加 KMEに交換  早速コンデンサを取り替え。Lelonのコンデンサは直径8mmだったけど、購入したKME/KMGは10mm。2本のリードの間隔もKME/KMGが少し広いので、基板から少しだけ浮かして実装するしかできない。
 おまじないのタンタル電解コンデンサは基板裏面に無理矢理実装。タンタルは極性を間違えると破裂するらしいので確認は慎重に。


結果はいかに.

 今度はケースに入れずに最小構成で組み直して動かしてみる。が、何にも変ってない。相変わらずWindowsは起動しない。 「電解コンデンサの大量死」にも「標準品での代用はすべきでない」と書いてあるが、おまじないも効かなかったのかorz

考察してみる.

 日本ケミコンのWebサイトの使用上の注意に、「定格リプル電流を超える電流を流すな」と書いてあった。リプル電流を調べてみると、ご覧のとおり。

メーカーシリーズ耐圧(V)容量(μF) リプル電流(mArms)出処
LelonRXA101000 1250電解コンデンサの大量死
日本ケミコンKME16 6400日本ケミコンWebサイト
KMG560

 標準品のKME/KMGと低ESR品のRXAじゃ倍くらい違うということは、それだけリプル電流が流れる可能性のある場所に使っているということと考えるべきであろう。こんな対処じゃまたコンデンサが壊れるだけだし、コンデンサが壊れるまでの間も性能不足。
 やはり低ESR品が必要。


処置 #2.

調査.

 今度は代用できそうな低ESRコンデンサと、それを扱っている通販Webサイトを検索。結果は以下のとおり。ある程度数がそろったところで検索をやめたので、ほかにも代用品や取扱店はあると思うけど。

メーカー シリーズ耐圧(V)容量(μF) 型番インピーダンス(mΩ)リプル電流(mArms) 寿命(H)形状(mm) 取扱店, 価格 備考、評価
Lelon RXA101000 不明411250 2000Φ8, L20 取扱なし 参考、壊れるから意味なし
ニチコン HM161000 UHM1C102MPD6181870 2000Φ8, L20 共立エレショップ, \63 RXAと同形状
日本ケミコン KZE161000 EKZE160ELL102MJ20S231820 4000Φ10, L20 サトー無線, \105 超寿命
SANYO OS-CON161000 16SA1000M159750 2000Φ16, L26 サトー無線, \504 形状が大きい、インピーダンスの差が気になる
東信工業 UTWRZ101000 1AUTWRZ102M80850 3000Φ10, L16 千石電商, \42 単価\50円以下のものは10個以上で取り扱い
251000 1EUTWRZ102M501400 5000Φ12, L20 千石電商, \63 形状が大きい、超寿命

 RXAは比較のために記載。買ってもまた壊れるだけだから選ぶ意味なし。直径が大きいものは他の部品と干渉したりリードの間隔が違っていたりで、浮かせて取り付けることになるため性能を発揮できない可能性があるので、できれば避けたい。インピーダンスが大きく違うと発振の可能性もあるし、リプル電流がRXAより小さいものは性能不足なので却下。
 コンデンサの性能から選ぶと残るのは、ニチコンHM、日本ケミコンKZEの2つ。さらに取扱店の購入方法を見ると、サトー無線はめんどくさそうだったので、残るニチコンHMを共立エレショップで購入することに決定。これの方がRXAより高性能なようなので、心配ないだろう。

 これらを調べていて、低ESRコンデンサの寿命が2000時間程度しかないことが気になった。でも標準品だと1000〜2000時間くらいみたいだし、超寿命品でも3000〜10000時間と書いてある。なんか短くないと思いながら計算してみると、1日2時間毎日使ったとして3年では、2×365×3≒2000。えっ、もう寿命!? でもテレビなんか毎日2時間以上使って平気で10年以上保つよね。 ... よく調べてみたらコンデンサの寿命は定格いっぱいの105℃で上表の時間使用し(低ESR品の場合。85℃品なら85℃での使用)、その後常温環境に戻して規定の性能を維持していることが条件だそうだ。さらにコンデンサは目安として10℃の降温で寿命が2倍になるということなので(ものによっては20℃の降温で寿命10倍なんてのも)、普通にPCに使用している限り、上表の数倍の時間は使えるはず。
 AX4R plusと同時に購入したディスプレイL565-Aに使用時間が記録されていた。5000時間弱。以外と使ったもんだ。でもまだコンデンサの寿命とは考えにくい。


交換.

HM実装 代用品HMと、壊れたRXA  代金引換なので注文から数日で届いたHMが左の写真の下のもの。上は比較のために並べてみたRXA。スペックどおり、形状は同じなので交換に問題ないはず。

 交換してみたところが右の写真。20ピン電源コネクタPWR1とぴったり隣り合わせなので、少しでも直径が8mmより大きいと浮かして斜めにつけることになってた。同直径のものを入手できたのでぴったり(←当たり前だ)。
 今回は裏面のおまじないのタンタル電解コンデンサは必要ないはずと考えて、実装してません。


結果.

 ケースに入れずに最小構成で組み直して動かしてみる。が、相変わらずWindowsは起動しない... 3回目のリセットで起動した。適当にWebブラウズしてみるけど、フリーズしないので前よりはいいみたい。電気食いそうなゲームしてみると途中でフリーズした。リセットしてみるとWindowsが起動する確率は数回に1回と低い。使い物にならない点では変わりなし。


考察.

 明らかに故障しているとわかるTC1を交換しても直らなかったその理由として考えられるのは、

  1. 代用品として選んだHMが適切な選択でなかった。本当に適切なものを選択するためにはマザーボード設計時の資料でもないと不可能だと思うけど。
  2. AX4R plusの他の部分も壊れている。この場合TC1は直接の原因ではないかもしれないし、TC1故障によってまわりの部品がダメージを受けた可能性もある。
  3. 原因はAX4R plusではなく他のパーツだった。

 TC1がどういう目的で使われているのかわかれば、上記aなのかa以外なのかぐらいは判断できそうなので、テスタで導通チェックしてTC1まわりの回路を調べてみた。わかる範囲で。ちなみに下図のQ52、R394、TC19は未実装でパターンのみ。
TC1まわりの回路
 なんだこれ!? 単純に給電された+5Vの平滑用に使ってあるだけ? こんなところに低ESR品が必要なのか? 電源ユニットから供給される+5Vってあまり安定してないのか? 電源に関する知識はあまりないので、これ以上はよく分からん。
 とりあえずTC1に要求されるスペックはあまりシビアではなさそうなので、上記aではなさそう。

 じゃbは? 目視では他のコンデンサにもっこりしてるのや、泡ふいてるのやら、破裂してるのやらは無い。特にTC1以外の低ESR電解コンデンサは日本製のものが使ってある。CPUのVRMには松下FJ、その他は日本ケミコン KZEとTMZで、粗悪コンデンサ問題とは無縁。他のICも目視でわかるような怪しいものは無し。


降格.

 何気なく検索サイトで粗悪コンデンサ問題について探していると、「粗悪コンデンサがもっこりしていたが、オーバークロックしていたからやっぱりキツかったかも」という内容の記事を発見。一見したときは「そりゃそうだよねー。自分はオーバークロックなんてしてないから関係ないね」くらいにしか思わなかったが、閃いた。「クロックダウンしてみればいいんじゃね」。
 クロックを下げれば消費電力も下がるから、電源系統に原因があるなら、消費電力低下が電圧安定につながって、動作するようになる可能性もある。幸いAX4R plusはBIOSから簡単にクロックを変えられる。BIOSを覗いてみるとFSB、AGP、PCIクロックの調整項目を発見。FSBは1MHzステップで調整できる。
 FSBをデフォルトの133MHzから10%低下の120MHzに設定して起動。一発でWindows起動成功。ちょっとWebブラウズしてみたくらいでは問題なし。電気食いそうなゲームしてみると途中で落ちた。まだ不安定みたい。
 今度は20%低下の106MHzにしてみた。今度はWebブラウズでも電気食いそうなゲームも動いている。
 その後、25%低下の100MHzなら安定動作するという結果に。

 やっぱり原因は電源である可能性濃厚。でもFSBを変えても、CPUとメモリのクロックは同期しているから、CPU用の電源なのかメモリ用の電源なのかは不明。つまり可能性の高い原因箇所は以下のとおり。


処置 #3.

保証切れてるもんねー.

怪しいコンデンサ MPT-300  電解コンデンサなら電源ユニット内にも使われているから、電源ユニット内でも粗悪コンデンサが使われていないか気になった。電源ユニットの製造時期は2002年11月、MACRONという聞いたこともないメーカーなら製造した国も不明。型番はMPT-300。

 もうメーカー保証も切れてるから分解してみた。ケースのカバーを外すことはできたけど、それ以上分解すると壊しそうだったので、そこでやめた。この状態ではあまりよく見えないが、目視では、もっこりしたり泡吹いたりしたコンデンサはなし。低ESR品が使われているかどうかもよく分からなかった。

 違う意味で怪しいもの発見。どこかの掲示板で見つけた、日立製作所のようなロゴマーク(でもこのマーク使ってるの最近見ないね)に、「Fuhjyyu」という富士通のようなブランド名。これなんて読むんだ? 発音できないぞ。

 目視じゃ判断できないのでAX4R plusを起動し、SilentTekのハードウェアモニタで電圧を確認。特に怪しい項目なし。

 ところで、MACRONって名称はメモリで有名な米Micronのパクリっぽい。検索サイトで探してみるとMACRONもMicronもいっぱい出てきた。どちらも関係ない会社やブランドが山のようにあるから、よくある名前ってだけだったみたい。
 あとになって、MACRONの電源ユニットをWeb通販で扱っている店舗を国内で複数見つけたり、IntelのWebサイト内の動作確認済み電源ユニットリストにもMACRONが入っているのを見つけた。MPT-300はなかったけどMPT-301ってのがある。意外と信頼していいのかも。


電源ユニット交換.

 怪しい電源ユニットを使い続けるのもアレなので、この機会にちゃんとした電源ユニットに交換してみることに。\10,000以下と比較的低額の出費で対応できそうだし。いろいろ調べて、近所のショップでも売ってるSILENT KING-4 450Wを購入。
 しかし、状況には何ら変化なし。MPT-300は怪しくても正常動作していたようだ。

 ってことで、上記考察はbの可能性が濃厚に。


忘却.

 ここで、メモリを1枚に減らして試してみるのを忘れていたことに気づいた。AX4R plusはデュアルアクセス対応なのでDIMMは同じ仕様のものを2枚購入しているが、1枚でも動作するはず。
 AX4R plusにはDIMM1〜4の4つのDIMMソケットがあり、これまでDIMM1と2を使ってきた。試しにDIMM2を外してDIMM1だけにしてみる。デフォルトのクロックでもあっけなく動いた。  念のためmemtest86+を実行してみる。どれだけ信頼できるのか疑問には思っているものの、やらないよりマシだろうから。無事pass。

 そこで2枚のDIMM(a, b)と4つのソケットの組み合わせの全パターンで、memtest86+を実行してみた。FSBはデフォルトの133MHz。結果は以下のとおり。

 使用DIMM
DIMM aDIMM b
シングルアクセス DIMM 1passpass
DIMM2起動不能起動不能
DIMM3passpass
DIMM4起動不能起動不能
DIMM1+3エラー検出
DIMM2+4起動不能
デュアルアクセス DIMM1+2エラー続出
DIMM3+4エラー続出

 結論。


処置 #4.

マザーボード交換.

 DIMM1枚刺しで使えば動かないことは無いけど、メモリは半分の256MBになるし、メモリアクセス速度も低下するし、なによりさらにひどくなる可能性もある。
 やっぱマザーボード交換か... AX4R plus気に入ってたのに。AX4R plusを扱っているところを探してみたが、新品・中古とも見つからず。別のものを探すしかない。

 他のパーツを流用できて、機能・性能とも同等、そして将来サブマシンとしても使おうと思うとケースも小型のが使えるぶんATXよりMicroATXの方がいいかなと思って、選んだ候補は以下のとおり。つまりsocket478、2*Serial-ATAは必須。取扱店は近所のもの、購入実績のあるところの中から選択しただけ。

メーカー型番チップセット 発売時期特徴 取扱店, 価格 備考、評価
AOpenMX4SGI-4DL2i865G 2004/08GbE, SilentTek クレバリー \11518 SilentTekがイイ! GbEが壊れやすい?
ASUSP4P800-MXi865GV 2004/078*USB なし 
P4S800-MX SESiS661FX+964 2005/118*USB 近所のショップ, \7980 
BiostarP4M80-M4VIA P4M800 2005/10  近所のショップ, \5480 
GIGABYTEGA-8VM800MVIA P4M800 2005/12一応ファンコンあり ソフマップ, \6380 ファンコンは簡易なもの
GA-8IG1000MKi865G 2003/05  PCサクセス, \9486 

 やっぱSilentTekは捨てがたいのだが、モデル末期と思われるMX4SGI-4DL2は在庫がなく、次回の入荷まで1ヶ月待ちとのこと。そんなに待てないなあ。SilentTekのようなファンコンを備えたマザーボードはAOpen以外には見つからず、諦めるか。
 発売時期の古いものについては、問題の粗悪コンデンサを使っていた時期に製造されたものの売れ残りである可能性もある。コンデンサ10個も交換なんて金も手間かかるのでやってられない。でも型番が同じでもコンデンサのような部品は同等品に置き換えられている可能性もある。購入してみないとどちらなのか判断できない。
 Biostarは使ったことがないな。ASUSは昔ちょっと使ったが、AMI BIOSがダサイ。
 Intelチップセットを使ったものは高い。\10,000オーバーはちょっとつらい。VIAやSiSなら安いが、ここ最近はIntel以外のチップセットを使ったことがない。GV-MVP/GXや無線LANなどで拡張するので、これらが動くかちょっと不安。バルクのメモリも不安。

 でも安さに負けてASUSのP4S800-MX SEにしました。


結果.

 交換の結果はPCパーツレビューで述べたとおり。マザーボードをAX4R plusからP4S800-MX SEに交換しただけで、何の問題もなく動きました。
 これにより、メインマシン故障の原因はAX4R plusということに確定。


執念.

調査.

TC1周囲の部品配置  メインマシンをP4S800-MX SEで組み直してからも、AX4R plusが3年足らずで壊れたことには納得いかず。使用中に気づいていた気がかりを調べてみることに。
 その気がかりとは、電源ON直後からQ53の温度が上がり始め、CPU使用率に関係なく92℃付近まで上昇すること。湯が沸くよ。
 Q53の発生した熱は基板をつたってまわりの部品にもおよぶ。まわりの熱に弱そうな部品といえば電解コンデンサTC1とTC14。ケースに入れた状態でこれらの表面温度は実測50℃ほど。定格の105℃には遠いが、コンデンサの寿命は熱に大きく依存するものなので、ちょっと熱いかな。
 そもそもQ53は何者だと思って調べてみると、独InfineonのIPB05N03LというMOSFETだった。これ自身は175℃まで使用できるとのこと。

 周辺回路の調査結果からも、Q53とQ49(これはInfineonのIPD14N03LというMOSFET)で単相VRMを構成している様子。ならどこかにPWMコントローラがあるはず。U4だろうと予想し、U4の刻印「P26AB RCS037M」について調べてみたが、該当なし。なんだこれ???
 単相VRMならL13が出力であり、どこかにつながっているだろうけど、どこにつながっているのか見つからなかった。


トラブル!?.

 で、U4周辺の回路を調べている途中、U4の左隣に並んでいる4つのチップ部品の1つR516にテスタのプローブ当てたところ、かすかに動いたような気が... げっΣ( ̄□ ̄)!!! 力の入れすぎか? なわけないじゃん。いくらチップ部品とはいえハンダ付けされているのにプローブ当てたくらいでとれるわけないだろとか思いながらも、もう一度触ってみると確かに動いている。ハンダ付け不良確実。今こうなったのか、それともなっていたのか。今でないなら、もしやこれが故障の原因!? (-_-;

 疑いながらも、そのチップ抵抗をハンダ付けし直すことに。面実装部品のハンダ付けなんて始めてだよ。
 できなかったときのことを考えて抵抗値を測定。47Ω。 意外と小さい。ついでにこれにつながっている部品も調査。隣のコンデンサC136とU4の8番ピンであることを確認。できなかったらリード付きの買ってきて適当につけるもんね。
 ハンダごてとピンセットを駆使して格闘すること20分。できてしまった。C136とU4 8番ピン間の抵抗値を測定してみると46.8Ωであり、R516の抵抗値と一致。成功したみたい(^o^)

結果.

 最小構成で組み直して電源ON、最初のBIOSの画面でフリーズ。だめか orz  ハンダ付けし直したR516を触ってみると簡単にとれた。あれ、さっき付け直した後に触ったときには全然動かなかったのに(?o?)

 もう一度R516を付け直して、触ったくらいじゃ動かないことを確認して、電源ON。やっぱり最初のBIOSの画面でフリーズ。何度かリセットしてみたらWindowsが起動することもある。ここでR516を指で触ってみると簡単にとれた、電源入ってるのに!!! でもとれたままでもPCの状況に変わりなし(?o?) よく分からんままに、もう一度R516を付け直して、電源ON。変らないなぁ。
 結局こんなことを3回も繰り返して諦めた。ハンダ付けした直後は触っても動かないし、導通チェックもしてるのに、電源を入れるとR516がとれるというのはおかしい。ハンダが融けるくらいの温度になってる!? なら隣のC143とC136(これらはチップコンデンサ)もとれそうになってもいいのに、これらは異常なし。じゃ、R516自身が発熱してる? R516の片方は+12Vのラインにつながってるけど。

 その間に気づいたことはQ53だけじゃなくU4もかなり熱くなること。測ってはないけど、指で触れないくらい。R516の温度は不明。R516だけを触るのも難しいし、サーミスタより小さいから測るのも難しい。

 もー限界、U4もQ53周辺もよく分からんからこれ以上の対処は不可能。怪しいとは思いながらも、打つ手なし、ナシ、nothingですよ。
 とりあえずP4S800-MX SEで動かしたから、これで終了。

結論.

真相.

 結局、メインマシン故障の原因はAX4R plusとまではわかったものの、AX4R plusのどこかまではわからず。
 購入したパーツも、P4S800-MX SEは今後使っていくことになるものの、SILENT KING-4やコンデンサは無駄な買い物に終わってしまった。

 「電解コンデンサの大量死」で知った粗悪コンデンサ問題も、今回の故障とは無縁だった可能性もあるし、粗悪コンデンサTC1の故障が他の部品にダメージを与えた結果だという可能性もあるし、真相は不明。

 検索サイトで探しても同じような症状の人は皆無だったので、たぶん自分のような壊れ方はレアケースだとは思います。AX4R plusをお使いの方、あまり心配することはないと思います。でも、同じような症状を経験されたなら、BBSでご一報いただければと思います。何もできないかもしれませんが。


対処の必要性.

 以下、私なりの意見。
 AX4R plusをお使いの方々、TC1を交換すべきかどうかですが、あなたのスキルによって変ると思います。


 「電解コンデンサの大量死」によると、AOpenに問い合わせると対処してもらえるという話もあります。レシートなどの購入の証明を保存しているかどうか問題ですが、時間がかかってもいいならその方が安全。素人の作業となるとリスクはつきものですから。現在AX4R plusを使用している方はすでに保証も切れているでしょうから、リスクと結果を覚悟の上なら挑戦してみてもいいのでは。簡単な作業の部類ですから。


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