おしながき
概要.
(SiS 661FXマザーボード、ASUS社製)
故障したAX4R plusに代わるマザーボードとして購入したものです。CPU、メモリ、ビデオカードを流用できて同等性能・機能のものであり、将来サブマシンとして使えそうなものという基準で選びました。ほんとはAOpenのMX4SGI-4DL2にしようとしたのですが、すでにモデル末期(2004/08発売?)なので入手に時間がかかるため、手っ取り早く入手できるものにしてしまいました。
詳しいカタログスペックについてはASUS社のサイトをご覧ください... で済まそうと思ったのですが、現時点では旧バージョン(2003/11発売?)のP4S800-MXしか載っていないようです。概要だけをあげると、
- 2005/11発売(らしい)。
- Micro-ATXサイズ。(25.4*25.4mm)
- Socket 478 Pentium4/Celeron対応。FSB800/533MHz対応。P4S800-MXとちがい400MHzは非対応のよう。
- チップセットはSiS661FX + SiS964。(P4S800-MXはサウスブリッジがSiS963L)
- メモリはDIMMスロット2本でmax 2GB。DDR400/333/266。デュアルアクセスは非対応。もちろんunbuffered、non-ECCのみ。
- Parallel-ATAは2本、UltraATA133/100/66/33対応。
- Serial-ATAは2ポート、RAID0/1/JBOD対応。(P4S800-MXではSerial-ATAなし)
- VGA内蔵だがReal 256Eなので3D性能は期待できない。
- AGPは8X/4Xだが1.5Vのみの対応。3.3Vや0.8Vには非対応。
- PCIスロット数3。
- 5.1chオーディオ対応。
- 10Base-T/100Base-TX LAN対応。
- USBは2.0対応が8ポート。(P4S800-MXでは6ポート)
- オーバークロック対応。
細かなところが旧バージョンのP4S800-MXと違っています。Serial-ATAやFSBは場合によっては致命的ですから、要注意です。
SiSチップセットを使っているのでIntelチップセットの製品より安い(\7,980でした)のですが、他のパーツとの相性問題とか出ないか心配が... もう何年もSiSやVIAを使ってないもので。同時に性能の方もちょっと心配。でもASUSということで、より安いBiostarやECSよりは安心できるのも確か。
ちなみにマニュアルは英語です。「売る気あるんなら日本語訳ぐらい作れよ」とか思いながらも、自作するんなら英語くらい読む覚悟が必要なのも事実。
基板を観察.
VRM.
まず気になる電解コンデンサを観察。チップ型はいいとして、低ESR品で使われているのは
の2種類。一時期問題になった台湾製粗悪品はもちろんなく、日本製でかためてあります。さすがASUS、と思ったのですがAX4R plusと容量を比べてみると、CPU周りのVRMに使われているものでは、AX4R plusが2200〜3300μFなのに対してP4S800-MX SEは1500〜2200μFと1ランク小さいものが使われていました。
VRM周辺のMOSFETに関しても、AX4R plusより小型のパッケージのものが使われています。よく見ると半田付けされているMOSFETの周囲を囲むようにランドが... 一回り大きいパッケージも実装できるようになっています。この一回り大きいの用のランドと現在使用されているランドはつながっていました。さらに実装済みのMOSFETの上にはもう1つ同じ形状のランドが... 実装済みと空きランドは各端子がつながっていたので、おそらくMOSFETを並列に2つ実装できるようにもした跡です。最小のコストに抑えるための試行錯誤を出荷直前まで行うための工夫です。
これらは単なるコストダウンと見るべきか、AX4R plusが余裕を持たせてあると見るべきか、それとも発売時期が遅いぶんP4S800-MX SEはぎりぎりまで最適化できたものと見るべきか...
未実装部品.
VRMに限らず基板上には未実装部品が多いのが目立ちます。左はPCIバススロット間のコンデンサ用のもの。右はIEEE1394用のピンヘッダ(左下)と、そのコントローラと思われるもの(右上)。
その他にもあるので、わかった範囲で列挙すると、
- IEEE1394
- IrDA
- WOL用のコネクタ
- WOM(WOR)用のコネクタ
- COM2
ひどいことにWOL/WOMはできるというようなことがマニュアルに書いてあるのに、コネクタが実装されていない。内蔵LANならBIOSの設定だけでWOLできるようですが。
IrDAについてはBIOSにも項目がないので、接続しても使えないでしょう。
組み立ててみる.
最小構成.
久しぶりのSiSチップセットはちょっと不安なので、いきなりケースに入れず、とりあえず最小構成で動かしてみました。
ハードディスクはSerial-ATAしか持っていないのですが、BIOSがデフォルトのままではWindowsのインストーラが「HDDがない」と言ってきました。この時つないだのはSeagateのST3120827AS。BIOSでは認識されているのに。BIOSのOnChip SATA ControllerをNative Modeにすると認識。
これだけで特に何のトラブルもなく起動。無事Windows xpのインストールまで完了。
拡張.
続いて使用する予定の拡張カードを実装。今回実装したのは以下のものです。
- GV-MVP/GX(IO-DATA社製ビデオキャプチャカード)
- WN-OP/PCI(IO-DATA社製PCカードI/F) + GW-NS54G(Planex社製IEEE802.11g無線LAN PCカード)
どれもトラブルなくインストール完了。
WOLのコネクタがないので、Cooling Afterをつなぐことができません。これは諦めることにしました。
怪しいものは無いか...
AX4R plusで異様に発熱しているMOSFETを発見したので、P4S800-MX SEでも発熱の激しいパーツを探してみました。
ありましたよ。AGPスロットのそばにある2個のMOSFET、PQ90とPQ91です(右の写真中央の2つ)。温度を量ってみると62℃ほど。異常というわけではないですが、熱いことには変わりない。とりあえずメモリチップ用の小さいヒートシンクをつけてみましたが全然効果なし。
なんか対策しといた方がいいかなぁ。
Real256E vs RADEON9200.
トラブルなく動いたとはいえ、内蔵VGAの性能が気になる。不都合なほどではないものの、ウィンドウの移動でさえも今まで使っていたRADEON9200より遅い。
試しにゲームをしてみる。TECHNO-SYLPHは何もしていないときはいいものの、弾を打ち始めると処理落ちが... 遅い。続いてSundayPanzersはタイトルなんかはいいものの、ゲームをはじめると自機の動きが遅い。体感速度はRADEON9200の半分。3D性能は期待できないとわかっていても、これほどまで遅いとは。おまけにVGA解像度をSXGAまで拡大した画質は「きたない」の一言。RADEON9200だとDVIでもVGAでもきれいなのに。
内蔵VGAを諦めてRADEON9200もインストール。BIOSはつつかなくても動作しました。Windows xp SP2だと「RADEON9200LE family」として認識されるので、Shappireのドライバをインストールして再起動。おお、軽い。これですよ、やっぱりストレスなく動かなきゃね。もちろんTECHNO-SYLPHもSundayPanzersも今までどおりの動き。
簡単にHDBENCH Ver. 3.30でベンチマークしてみました。影響の出ないCPUは省略。参考までにデュアルアクセスのAX4R plusも覚えている範囲で記載。
測定項目 | P4S800-MX SE | AX4R plus | |
内蔵VGA(Real256E) | RADEON9200 | RADEON9200 | |
Memory Read | 67921 | 77178 | 11万台 |
Memory Write | 32194 | 36081 | 4万台 |
Memory Read&Write | 70020 | 78611 | 忘れた |
Rectangle | 21749 | 47362 | 忘れた |
Text | 15165 | 20383 | 忘れた |
Ellipse | 9635 | 10260 | 忘れた |
BitBlt | 119 | 360 | 忘れた |
DirectDraw | 30 | 29 | 忘れた |
Drive Read | 56952 | 57462 | 43617 |
Drive Write | 55500 | 55986 | 45376 |
Drive FileCopy | 5895 | 6098 | 40760 |
内蔵VGAとRADEON9200でメモリアクセスに差がありますが、内蔵VGAはメインメモリの一部をVRAMとして使用するためです。ディスプレイへの表示のために内蔵VGAが絶えずメモリアクセスを発生させることになるので、その合間にしかCPUその他はアクセスできなくなります。もちろん、VRAMとして使用されている32MBぶんはCPUからはメモリとして利用できません。BIOSでもそのぶん少なく表示されます。
デュアルアクセスのAX4R plusとの差は予想どおり。安物を買ったことを後悔する瞬間。体感的な差はこの数値ほどでなく、特定の場面でのみ「ちょっと遅いかな」と思うくらいです。MPEG2エンコードとかの時間のかかる処理では違いが出るかも。(下記参照)
DirectDrawの差がないですが、RADEON9200はDirectX8.1世代なのにDirectX9.0cをインストールしているため、ほとんどCPUで処理しているのでしょう。
Drive Read/WriteがちょっとAX4R plusよりいい。Serial-ATAコントローラの違いからかな。サウスブリッジに内蔵なぶん、オーバーヘッドが少ないから... といってもそんなに差がつくわけないと思う。FileCopyが異常に悪い値です。AX4R plusが良すぎる値が出るのと対照的。HDBENCH信頼していいのか?
総評.
とりあえず完成.
組み立ては特にトラブルなし。
とりあえず、しばらくの間はメインマシンとして使えるかなといった感じ。でも重たい処理をさせるのは、CPU(Pentium4 2.40B)も含めてもっといいものが欲しいというところです。値段が値段だけに(\7,980)、仕方ないですが。
AOpenのSilentTekのような静音化がないので、いくらCPUクーラーが静音タイプのSILENT DRACO P4とはいえ常にフル回転しているのですから、結構うるさくなりました。ファンコンつければいいけど、SilentTekのように自動調節できるものは見つからないし。これが一番困ったこと。
その他、気付いた点.
Windows xpの起動が遅くなった気がする。待てないほどではないですが、BIOSの画面が消えてWindows xpのロゴが出るまでに、真っ暗な中にカーソルが点滅しているだけの画面が数秒間表示されるようになりました。AX4R plusではカーソルが見えないくらいに一瞬だったのに。Windows xpのロゴの下でバーが移動している画面も、気持ち長いような気がする。
USBキーボードやマウスを触ったときにPCの電源を入れる機能がありますが、これのためには電源OFF時にもUSBキーボードやマウスに電源が供給されている必要があります。そのためにAX4R plusではバックパネルのUSBポートには常に電源供給する仕様になっていました(オンボードのUSBポートは電源と連動)。P4S800-MX SEでは2ポート単位でバックパネルのUSBポートもオンボードのUSBポートも、ピンヘッダで電源OFF時の給電の有無を設定できます。自由度が高いぶん、いいですね。
Micro-ATXマザーにしては珍しく、BIOSからオーバークロックが可能です。ただしFSB(外部)/AGP/PCIの周波数のみ、電圧は変更不可。AGPとPCIは3段階切り替えのみで、1MHzステップの調整やアンダークロック(?)は不可。
(2006/06/21追記)
ディスクアクセス中のCPU占有率が高いのが気になります。MPEG編集ソフトやDVDオーサリングソフトなどのように、ディスクアクセスも多いしCPU負荷も大きいアプリケーションでは、体感的にも動作が遅くなったのがわかります。上記HDBENCHによるベンチマークではHDDのみ、CPUのみのように個別にしか測定しないため、ここまではわかりませんでした。ディスクアクセスそのものがCPUパワーを食っているようですが、それ以上の詳細は不明です。やはりメインマシンとして使うにはちょっと性能不足かも。Intel
CPUの中心がSocket 478からLGA775に移行した今では、これをメインマシンに使うという状況も多くはないでしょうが。
(2009/02/01追記)
上記ディスクアクセスの遅さですが、Windows xpを再インストールしたところ直りました。
キャプチャしたビデオを格納していたEドライブ(HGST HDT722525DLA380)が、ダイナミックディスクになっていたのが気になって、「ダイナミックディスクでのアクセス速度低下」についてWebで調べたのですが何も見つからず。ダイナミックディスクは特に関係ないのかもしれませんが、ダイナミックディスクにしている意味もないので、解除することに。でも解除するには再インストールしかないので、再インストール実行。
で、HDBENCHしてみると、ディスクアクセスはAX4R plusと同等に戻りました。もちろんディスクアクセス中のCPU使用率も普通になりました。
しかし、Eドライブのアクセス速度低下の原因は不明のままです。
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